2020.5.22 家族信託

家族信託をするには

家族信託は、自分の判断能力がまだ衰えていない段階でも相続対策が行えるとして、今注目されている制度の1つです。

家族信託を行うには信託契約を結ぶなど、様々な手続きが必要となります。

では、具体的に家族信託をするにはどうすれば何から始めて、どう進めていけば良いのでしょうか?

専門家に全てを任せるのも良いですが、自らが家族信託について知っておくことも大切です。

そこで今回は、家族信託を始めるために知っておきたい情報をご紹介していきます。

家族信託はいつから考えておくべき?

家族信託するには、そもそもどれくらいのタイミングで考えた方が良いのでしょうか?家族信託を考えておくべきタイミングからご紹介していきす。

判断能力が衰える前には検討

家族信託を行うメリットは、何と言っても自分の判断能力が衰えてしまう前に家族へ財産を託すことができるという点が挙げられます。認知症はどんな人でも起こり得る病気なので、財産を持っている人は早めに財産管理をどうすべきか考えるはずです。この時、同時に家族信託についても考えておきましょう。

判断が遅すぎると問題

家族信託はいくら早くてもタイミング的に早すぎて問題になることはありませんが、タイミングが遅くなり判断能力が落ちている段階にまでなってしまうと信託契約が結べなくなる可能性があります。

ただし、中には家族信託を早く決めてしまうと後から気持ちが変わった時に変更できないのではないか?と不安に感じる方も多いでしょう。

家族信託は後から財産の内容を変更したり、受託者(財産管理を行う人)を変えたりすることができます。

そのため、家族信託について考えるタイミングはできるだけ早い方が良いのです。

家族信託するにはまず何から始めれば良いのか?

家族信託について考え、家族のためにも行っておきたいと思った時、まずは何から始めれば良いのでしょうか?

家族信託を行うには、委託者が受託者と受益者を決め、「信託契約」を締結させる必要があります。

この契約書を結ぶ前に必要な情報や書類を用意しておきましょう。

家族信託をなぜ行いたいのかを整理

家族信託するには、まず目的を明確にしておく必要があります。

目的は人によって異なりますが、例えば認知症になる前に財産管理を子どもに渡しておきたい、自分で財産の運用をするのは難しいが老後の生活資金のために子どもに運用してほしいなどの理由が挙げられます。

受託者と受益者を決める

委託者は自分自身と考えた時、誰を受託者・受益者にするか決めておくことも大切です。

受託者は財産を管理する立場になるため、信用のおける人を選ぶ必要があります。

受益者に関しては、委託者自らが受益者になるケースがほとんどです。

家族信託の場合、二次相続についても意見を反映させられるのは非常に魅力的なポイントと言えます。

例えば次の世代まで財産を渡したい場合、第二受託者・第二受益者それぞれを今の段階から決めておくことができるのです。

もし孫の代まで財産をどうするか決めたい場合は、家族信託を取り入れた方が良いでしょう。

信託期間を決める

家族信託は基本的に委託者(受益者)と受託者の個人間における契約となります。そのため、最初に信託する期間を定めた場合はその期間が終了した時点で家族信託の契約もなくなるのです。

もし必要であれば信託する期間も決めておくと良いでしょう。なお、具体的な期間ではなく例えば「受益者が亡くなった時」と設定することもできます。

信託で管理を任せたい財産を決める

家族信託の場合、全ての財産管理を受託者に任せることもできますが、一部の財産管理だけを任せるといった形にもできます。

例えば、不動産は子どもに家族信託しておき、その他の財産は相続で分与する形にもできるのです。

こうした自由度の高さは家族信託ならではとも言えるでしょう。

契約に必要な書類を揃える

印鑑証明書

印鑑証明書は、信託契約書で印鑑を押す時に「委託者と受託者の印鑑である」と証明することができます。

また、信託契約書だけでなく不動産の管理を任せたい時にも受託者の印鑑証明書が必要となります。

いくつも不動産を持っている場合はその管轄の数だけ印鑑証明書が必要になってくるので、注意しましょう。

印鑑証明書は3ヶ月を過ぎてしまうと有効期限が切れてしまうので、証明書を取得するタイミングは専門家にあらかじめ相談しておくと良いです。

戸籍謄本や住民票

信託契約書には氏名や住所、続柄などを戸籍謄本や住民票の通りに書かなくてはなりません。

委託者と受託者の分はもちろん必要なのですが、第二受託者や第二受益者、契約が満了になった時の帰属権利者、信託を管理する信託管理人、受益者の代理人など、家族信託に関わっている方全ての戸籍謄本・住民票を取得しておく必要があります。

かなり手間がかかるので、必要に応じて早めに取得しておくようにしましょう。

不動産に関する書類

信託したい財産が不動産だった場合、不動産に関する様々な書類を用意する必要があります。

例えば、固定資産評価証明書や名寄帳、登記簿謄本、公図、登記済証(もしくは登記識別情報)などです。

所有権移転登記を行う際には、固定資産評価証明書と登記済証(登記識別情報)を法務局まで提出しなくてはなりません。

また、名寄帳は自身が所有する不動産をチェックするために使うもの、登記簿謄本は現在の不動産がどうなっているのかを確認するために使います。

公図に関しては、信託契約書でしっかりと土地の正確な位置を示す必要があるため必要です。

信託契約書

信託契約書は、最終的に家族信託の契約を結ぶ際に必要な書類です。まだ認知度が低い家族信託は契約書の形式も確立されておらず、雛型をダウンロードできるサイトによっても形式が異なっています。

ただし、必ず記載しなくてはならない項目は共通しています。

  1. 契約の趣旨
  2. 家族信託をする目的
  3. 委託者・受託者・受益者(必要に応じて第二受託者・第二受益者)
  4. 信託する財産

これらの項目は確実に記載するようにしてください。

家族信託手続きにかかる費用は?

家族信託の手続きには、費用を掛けないといけない部分もあります。具体的にどれくらいの費用が掛かってしまうのか、事前に把握しておきましょう。

もしも家族信託に関わる全ての手続きを自分だけで進めていく場合、公証役場の費用と登録免許税の支払いだけで済みます。

登録免許税は不動産名義を変更する際に納めなくてはいけない税金です。

どれくらいの費用かというと、固定資産税評価額に対し土地には0.3%、建物には0.4%となります。

もしも土地の固定資産税評価額が6000万円だった場合、18万円の登録免許税が掛かることになります。

一方、弁護士や司法書士、行政書士など法律の専門家に手続きを任せた場合、費用は多く見積もって150万円用意しておくと安心でしょう。

専門家への相談料や着手金に関しては、事務所によって費用に大きな違いが出てきます。

こうして見ると自分だけで手続きを進めていった方が良いように思えますが、費用を支払った分間違いなく家族信託の手続きを進められて手間もそれほど掛からないため、確実に家族信託を行いたい場合は専門家への相談がおすすめです。

まとめ

家族信託するには費用と手間が掛かってしまいますが、専門家に相談すれば安心して、確実に手続きを進められます。

特にこの記事を読む前まで「何から始めれば良いのか分からない」と考えていた方は、専門家へ相談した方が良いでしょう。

Information
笠田先生

司法書士法人ワイズパートナー

司法書士 
笠田 佑介(東京司法書士会所属)

司法書士法人WISEPARTNERは、認知症後の対応だけではなく、認知症になる前の対策など、ご相談者様が現在状態で、何の対策を取らなければならないかのご相談も対応可能です。専門家として、認知症への正しい選択肢を提供しています。

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