2020.5.26 家族信託

家族信託に公正証書は必要ですか?

家族信託とは、遺産を所有する方が老後に必要な資金の管理を家族に任せる家族の財産管理を言います。

家族信託をすることで、複雑な親の財産管理を簡単に行えて遺言書がいらなくなるのでしておいた方が良い手続きです。

その家族信託に、公正証書を作成した方がいいのはご存じでしょうか?

家屋信託契約をする際に公正証書にしておくと、一般的な契約書(私文書)よりもメリットがたくさんあるのです。

しかしなぜ公正証書が家族信託契約に必要なのか、分からない方もいるはずです。

メリット・デメリットについて知りたいという方も多いでしょう。

今回はなぜ公正証書が家族信託に必要なのか、公正証書のメリット・デメリットについてご紹介します。

また最後には手続きの仕方についてもご紹介するので、ぜひ一度目を通してみてください。

公正証書とは

そもそも、公正証書とは、公証人という法律の専門家が公証役場で作成する文書です。公証人は裁判官や検察官、弁護士など法律と向き合う仕事をしている人の中から法務大臣によって任命されます。

公証役場とは、国内に約300箇所設置されている法務局が総括する機関です。

公正証書を作成するためには、公証役場に行き公証人から公正証書を作成してもらう必要があります。

雇った弁護士が公証人になってくれるわけではないので、注意しましょう。

家族信託の契約書に、法律上決まりはありません。

しかし公正証書を作成しておくと、家族信託をする際の契約がスムーズになります。

公正証書は法律の専門家である公証人が本人確認や意思確認を行って、契約の成立を認めてくれるものです。そのため、私文書よりも証明力が高いです。

家族信託に公正証書が必要な理由

なぜ、家族信託契約に公正証書が必要なのでしょうか?

その理由は、任意後見契約が公文書での契約を義務付けられている、信託口口座の開設、信託契約書の原本が公証役場で保管されるという3つがあります。

ここでは、3つの理由について説明していきましょう。

任意後見契約が公文書での契約を義務付けられている

「任意後見契約」という制度は、家族信託と同様に財産を管理する制度です。

認知症などを患った時に備えて後見人となる人物をあらかじめ決めておき、意思能力が低下した時に決められていた人が財産管理を行います。

任意後見契約は私文書での無効とされてしまうので、公正証書で契約をする必要があります。家族信託も財産管理をする点では全く一緒です。

後々の財産分与などの紛争を防止するためにも、家族信託の契約書は公正証書で作成しましょう。

信託口口座の開設

家族信託で託された人は、信託された財産と自分の財産を区別して管理する義務が生じます。信託された財産が現金の場合、管理を行うために信託口口座を開設しなければなりません、

信託口口座を開設するためには、信託契約書が公正証書でなければ開設できない銀行ばかりです。

信託口口座を開設するためにも、信託契約書は公正証書で作成しましょう。

契約書の原本は公証役場で保管される

私文書では契約をしても盗難に遭って、第三者の手によって改ざんされる可能性があります。信託契約書は一度盗難や紛失した場合には、委託者の意思能力がはっきりとしていない限り二度と手に出来ません。

しかし公正証書で作成していると、契約書の原本は公証役場で保管されます。

そのため、紛失したとしても謄本を請求すればいつでも手元に戻ってくるのです。紛失や盗難に遭った際のリスクを回避するためにも、公正証書で作成しておくと安心です。

公正証書のメリット

公正証書の必要性をご紹介してきましたが、公正証書のメリット・デメリットはあるのでしょうか?

ここでは、公正証書にするメリット・デメリットについてご紹介します。

後々のトラブルが起こりにくい

私文書の場合契約書を作成した後に、本人の意思で作られたのか、本人が署名したものなのか、作成時の判断力は適切だったかなど、トラブルになりかねません。

しかし公正証書であれば、公証人が本人確認や意思確認をきちんと行うのでその心配をする必要がないのです。

公証人が法律に基づいて断言してくれるので、トラブルになっても公証人に任せれば安心できます。

紛失しても再発行ができる

もし信託契約書を紛失した場合でも、契約書の原本は公証役場に保管されています。そのため紛失をしても、公証役場に届け出れば再発行をしてもらえるのです。

私文書での契約では、信託契約書を紛失した時にそれで終了です。

新しい契約書を信託者に依頼しても、その時点で認知症などの理由から意思能力が低下していた時は、二度と契約ができません。

契約書が再発行できる点は、大きなメリットと言えます。

信託口口座を開設できる

信託を任された人は、自分の銀行口座と委託者の銀行口座を分けなければなりません。契約書が私文書の場合、金融機関に訪れても信託口口座を開設できない可能性があります。

なぜなら、それが本当に本人の意志で署名されたものか分からないからです。

公正証書であれば公証人がきちんと本人の意思を聞いて署名してもらっているので、信託口口座を開設できます。

また口座の開設だけでなく、融資も受けやすくなります。

公正証書のデメリット

費用が掛かる

公正証書を作成してもらうためには、公証役場訪れて公証人から作成してもらわなければなりません。作成を依頼すると、その分の費用が掛かります。

公正証書を作成してもらう時に掛かる費用は、次の通りです。

  • 100万円以下・・・5,000円
  • 100~200万円以下・・・7,000円
  • 200~500万円以下・・・11,000円
  • 500~1,000万円以下・・・17,000円

これにプラスして弁護士への依頼費用が掛かります。

いつでも契約ができない

私文書はいつでもどこでも書けますが、公文書である公正証書は公証役場が開いている平日の日中しか作成ができません。つまり、契約できる日時と場所が決まっているのです。

また契約当事者が、公証人の目の前で契約をしなければならないので日時が合わない場合もあります。

時間が掛かる

公証役場に当事者たちが訪れて、公証人の前で契約の手続きを行うため手間や時間が掛かります。その点に比べて私文書は、費用も時間も掛かりません。

公正証書を作成するための手続きとは?

公正証書を作成するためには、どのような手順で行えばいいのでしょうか?ここでは、公正証書を作成するための手続きについてご紹介します。

①:運転免許証と認め印を用意して公証役場へ

持ち物は、運転免許証と認め印です。家族信託を行う当事者が公証役場へ行く場合は、必ず運転免許証と認め印を用意してから向かいましょう。

また財産がどのくらいあるのかを確認できる登記簿謄本や通帳などのコピーも合わせて持って行くと安心です。

原則当時者本人が手続きを行いますが、都合により行けない場合は代理人でも構いません。代理人の場合は委任状を持って行きましょう。

②:公証役場内の公証人のところまで書類を持って行く

公正証書を作成するためには、公証人がいる公証役場へ書類を持って行かなければなりません。受付をしてもらい、公証人の目の前で家族信託を行う本人確認と意思確認を行います。

その後は書類の確認をしてもらい、公正証書を作成してもらい終了です。

まとめ

公正証書を作成してもらうには時間と手間が掛かりますが、家族信託を行う時は、私文書よりも公文書である公正証書が安心です。

防犯のためにも信託口口座を開設するためにも、公正証書は重要なものになってきます。家族信託を考えている方は、公正証書を作成してもらうと良いでしょう。

Information
笠田先生

司法書士法人ワイズパートナー

司法書士 
笠田 佑介(東京司法書士会所属)

司法書士法人WISEPARTNERは、認知症後の対応だけではなく、認知症になる前の対策など、ご相談者様が現在状態で、何の対策を取らなければならないかのご相談も対応可能です。専門家として、認知症への正しい選択肢を提供しています。

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