2022.3.23 家族信託

家族信託の5つのデメリットを徹底解説|メリットや家族信託を失敗させないポイント6つ

家族信託』は家族と財産を守る制度ですが、まだ新しいため馴染みがなく始めようと思っても不安を感じる人は多いのではないでしょうか。

家族信託では帳簿などの管理資料を作成したり、税務手続きを行ったりなど一定の手間がかかりデメリットがあることも事実です。ただ、対策を知っておけばこのようなデメリットは抑えられます。

この記事では、家族信託のデメリットやメリット、活用事例、家族信託が必要な人はどのような人かについて紹介します。

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家族信託を始める前に知っておくべき5つのデメリット

家族信託のデメリットは、信託する財産の内容によって変わってきます。ここでは、手続きを始める前に知っておきたいデメリットについて紹介します。

開始前から開始後まで全体的に手間がかかる

家族信託は、家族信託契約書を作成して終わりではありません。契約書で決めた時期がきたら受託者は信託財産を管理し、必要な手続きや書類作成を契約終了時まで行っていく必要があります。

契約後:家族信託開始 ・帳簿の作成

・財産状況開示資料の作成

・信託収益収支→の計算書(一定の収益以下の場合は必要なし)
契約書に記載された定期業務

契約後:家族信託終了時 ・残った信託財産の引き渡し

・家族信託で締結した契約の終了・解約

収益が発生するような財産を管理している場合、税務手続きもしなければいけません。

財産の内容や金額によって負担の程度は変わりますが、このような手続きが必要になる点は家族信託のデメリットと言えるでしょう。

受託者を決める際に、開始後にどのような実務が必要かを説明したり、何かあった時に相談したりできる相談先を作っておくことが重要です。

受託者が正しく実行してくれないリスクがある

家族信託では、受託者が契約書通りに動いてくれるかが重要です。特に自分や配偶者、子どもの生活(経済面の)の保護を目的とした家族信託では、受託者がしっかり実行しないせいで生活が困窮したり、施設へ入居できなかったりなどのリスクに直結します。

家族信託の受益者には、認知症だったり障害を持っていたりするケースも珍しくありません。そのため気づかない、もしくは返還請求できないまま経済的な利益を侵害され続けてしまう恐れがあります。

受託者選びに不安がある場合の対処法

受託者の行動に誰かの生活がかかっている場合、より安心できるように保険をかけておくことをおすすめします。

保険と言っても保険商品ではなく、信託監督人と受益者代理人という人の設定です。

信託監督人とは受益者の判断能力が低く、受益者自身が受託者を適切に監督することが期待できないような場合に、受益者の権利を使って受託者の実務を監督してくれる人です。

受益者代理人は、受益者の意思決定や受託者の監督が事実上難しい場合に受益者の代理人として全ての権利を行使できる人です。司法書士や弁護士など公正な立場にいる第三者に依頼することもできますし、親しい人にお願いすることもできます。

受託者もついうっかり手続きを忘れてしまうこともあるでしょう。少しでも心配な人は検討することをおすすめします。

契約に長期間拘束され受託者は簡単に辞任できない

家族信託の契約は数ヶ月で終わるようなものではなく、終了までに数年、数十年かかることもあります。

契約期間は長いですが、受託者は一方的な辞意で辞任することはできません。契約に定めがある場合を除き、原則、委託者及び受益者の同意が必要です。また、受託者が辞任をしたい時点で、委託者または受益者が認知症等で同意が難しい場合は裁判所の許可が必要です。

そのため、受託者の生活が変わったからといって、簡単に他の親族へ交代するのは困難です。

家族信託契約の内容を変更できる例外的な4つのケース

契約内容を変更するには委託者と受益者、受託者の合意が必要です。しかし、すでに委託者や受益者との会話が困難だったり、判断能力がなかったりすることもあります。

そのため、以下のようなケースであれば全員の合意がなくても、契約書を変更することが可能です。ただし、勝手に変更してしまうと相続時にトラブルになるリスクがあるので注意が必要です。

変更できる例外的ケース 変更に必要なこと
家族信託の目的に反しないことが明らか 受託者と受益者での合意の上、委託者へ通知
家族信託の目的に反せず、受益者の利益に適合することが明らか 受託者の書面または電磁的記録による意思表示をし、委託者と受益者に通知
受託者の利益を害しないことが明らか 委託者と受益者が、受託者へ意思表示
家族信託の目的に反せず、受託者の利益を害しないことが明らか 受益者から受託者へ思表示をし、受託者から委託者へ通知

先を見越して契約書に変更に関する特例を設けておいてもいいかもしれません。

変更したい内容が例外ケースに該当するかは、個人で判断せず契約書を作成した専門家に相談、確認するようにしましょう。

【関連記事】家族信託を司法書士に依頼するメリット4つと信託に強い司法書士を選ぶポイント

家族信託は節税対策にならない

家族信託によって大きな節税効果を見込めると考えている人もいますが、これは少し誤解です。

家族信託による税金の取り扱いは以下の通りです。

  1. 相続税:家族信託を行っていても、残った信託財産を相続として受けとる際に課税
  2. 贈与税:委託者=受益者の場合は同じ人に戻るので、非課税。委託者≠受益者の場合は贈与税が課税
  3. 不動産取得税:非課税
  4. 不動産登記免許税:課税
  5. 受益者が委託者と同一で不動産を信託財産にしていた場合、相続の時に発生する不動産登記免許税の税率は0.4%になる
  6. 固定資産税:不動産を信託財産にしていれば課税
  7. 所得税:信託財産により収益を得た場合、それに応じた税金が課税

家族信託を行った場合、不動産取得税は非課税となりますので普通の相続より少しは減税できる可能性があります。ただし、家族信託はあくまで家族と財産を守る制度です。

相続による減税対策をしたい場合、税理士への相談をおすすめします。

不動産の損失を損益通算できない

家族信託では、信託財産である不動産を修復することもありますが、そのような場合にデメリットとなるのが、損益通算の特例です。

損益通算とは課税標準を計算する上で、赤字が出た所得を黒字の所得で差し引ける制度になります。この制度のメリットは、金額を差し引きすることで課税対象額を低くし、所得税を減らせることです。

そのため、本来であれば信託した不動産のリフォームにより発生した損金を本人の収入などの黒字部分と損益通算し減税できます。しかし、租税特別措置法の特例ではこれが禁止され、契約内容に含まれる信託財産以外との損益通算ができません。

そのため、不動産を信託財産にしてしまったことで、他の収入との損益通算ができずかえって税負担が増すリスクもあります。

複数の不動産を持っていたり近いうちに不動産の修復が必要になったりするケースでは、何を信託財産にするか税金の面からもよく考えなければいけません。

家族信託で自由な相続を実現する6つのメリット

デメリットを紹介してきましたが、多少の手間がかかっても認知症対策や自由な相続を実現させるためには家族信託が最適です。

ここでは、メリットについて紹介します。

家族信託の開始時期を自由に決められる

家族信託の大きなメリットの1つは、開始時期を自由に決められることです。

一般的な相続では、被相続人が死亡してから手続きが開始されます。そのため本人の判断能力が低くなり財産を管理できないような状況でも、家族が勝手に管理することはできません。

家族信託の開始時期を認知症と診断された時、要介護者になった時と決めておくことで、財産管理の悩みや負担を解消できます。

不動産や有価証券の管理・処理・運用ができる

本人名義の不動産は、相続されるまで家族であっても勝手に売買や改装することはできません。なので、誰も住んでいない空き家や老朽化が進んだ家を、何もせず所有し続けなければいけない可能性があります。

家族信託により、家の所有権を受益者に渡し管理権を受託者に渡すことで、契約書に沿って管理・処分してもらえます。そのため、家が空き家になっても放置せず、売買や投資用の不動産では適切に運用することで、今までと同様に収入を稼ぐことが可能です。

これは不動産だけではなく有価証券なども同様です。一部例外もありますが、受託者へ信託し継続して収入を得ることで、たとえ自分に判断能力がなくても自分や家族の生活費を負担できる可能性があります。

管理する人を一元化することで共同所有のリスクを解消

相続の際に、問題になるのが不動産や有価証券など価値の高いものの共同所有です。

共同所有のリスクは、何かする際に所有者全員の合意が必要だったり、権利を主張し合いトラブルに発展したりする可能性があります。

このような時に有効なのが家族信託です。不動産や有価証券の管理者を受託者に一元化し、その他の相続人を受益者とすることで全員の合意を得ずに管理や処分ができます。

また、平等に収益を分配することで、権利主張などのトラブルを抑えやすくなるでしょう。

家族の金銭的負担の軽減・生活を経済的に保護できる

将来について何も対策をしていないと、自分が認知症や要介護者になった時、入所費や生活費を家族が負担することになります。

兄弟姉妹がいる場合、費用の支払いについてトラブルが起こる可能性もゼロではありません。

あらかじめ財産を信託しておけば、判断能力が低下しても入所費や生活費に充ててもらえるため、家族への負担を軽減できます。

また、配偶者が認知症だったり子どもに障害があったりして、自分が支援しないと経済的に困窮してしまうケースでも、大きな効果を発揮します。

判断能力のある人を受託者として、生活費などを毎月振り込むように契約内容へ記載しておくことで、家族の生活を経済面で保護することが可能です。

ペットの引き渡し先の指定・生活を経済的に保護できる

ペットを飼っている人の中には、自分に万が一のことがあった際の引き取り先が決まっていないため、行く末に不安を持っている人もいると思います。

子どもが引き取れればいいのですが、マンションの契約状況やアレルギー体質など難しいことも珍しくありません。また飼い主としては、変なところではなく信頼できる相手に引き取ってもらい、幸せに生活してほしいというのが希望なのではないでしょうか。

このようなペットの引き渡し先問題も、家族信託であれば最も良い形へまとめられる可能性があります

相談内容:子どもは引き取りが難しく友人Aに猫をお願いしたいと思っているが、猫の生活費を考えるとお願いするのは気がひけてしまう。猫の行く末が心配。
結果:子どもを受託者とし受益者をAとする。

ご相談者に万が一のことがあった場合、猫はAに引き渡され、受託者は飼育費として毎月Aに送金を行う。信託契約財産は預貯金のうち500万円として、猫が死亡したら、終了する。(詳しくはこちら:最近自分が亡くなった後、一緒にマンション暮らしをしている猫の行く末が心配)

このような契約により受益者の経済的な負担をなくし、希望を実現できます。家族信託は受託者や受益者を親族に限定していないため、このように柔軟な相続を実現することができるのです。

二次相続まで指定でき第三者にも財産をわけられる

家族信託では、もし受益者が死亡した場合、その後の受益者を決めることが可能です(後継ぎ遺贈型受益者連続信託)。

受益者は血縁関係が必要ないため、自分の親族以外が財産を受け取れるような仕組みづくりができます。例として以下のような設定が可能です。

  1. 受益者:本人、二次受益者:妻、三次受益者:姪
  2. 受益者:本人、二次受益者:ずっと世話をしてくれた友人
  3. 受益者:本人、二次受益者:妻、三次受益者:長男夫婦、四次受益者:次男の孫

家族信託では手続きが終わった後に、残った信託財産を引き渡す帰属者を指定できます。

遺留分を侵害しない程度の金額の帰属を設定しておけば、最終的な相続でも血縁関係なく財産を相続させることが可能です。

破産後にも家族の生活を守れる

家族信託は柔軟な相続ができるだけではなく、会社が倒産したり借金ができて自己破産した時に家族の生活費を残すことができます

これを信託の倒産隔離機能といい、信託財産は、委託者、受託者の固有の財産とは区別されます。そのため、自己破産により財産が差押えされたとしても信託財産を守れます。

もちろん、弁済を免れる目的として家族信託を利用した場合では無効になる可能性があります。家族の生活を守るためにも早めに家族信託の契約を結んでおくのも選択の1つです。

家族信託が必要な人と必要ない人の特徴

家族信託は全ての人に必ず必要な制度ではありません。ここでは、家族信託が必要な人と必要ではない人について紹介します。

家族信託が必要な人はこんな人

家族信託では叶えたい相続や不安に思っている悩みを「目標」にして、これを達成するために受託者へ財産を信託します。

そのため、以下のような叶えたいことや悩みがある人におすすめの制度です。

  1. 不動産を持っている
  2. 自分が死亡した場合に子どもや認知症の配偶者の生活費を保証しておきたい
  3. ペットの行く末が不安
  4. 自分が認知症になった場合に備えて対策をしたい
  5. 子どもや配偶者がいなく認知症になった場合、どうすればいいのかわからない
  6. 子どもがいないため、せっかくの財産を無駄にしてしまう
  7. 相続させたい人がいる
  8. 事業承継して株式を譲渡した後も経営者として働きたい など

家族信託がいいのか、他の制度がいいのかは事情によって変わります。少しでも検討しているのであれば、家族信託の詳しい司法書士に相談してみてください。

司法書士法人ワイズパートナーでは、家族信託などの相談について何度でも無料相談が可能です。また、先に必要か不要か知りたい人向けに約30秒で解答の出る登録不要の無料診断ツールを提供しています。

家族信託が必要ない人はこんな人

家族信託は以下のような人には必要ない可能性があります。

  1. 生前贈与などですでに財産を渡している
  2. 財産が数十万程度でほとんどない
  3. すでに認知症が発症してしまっている
  4. 不動産も有価証券も持っていない など

このような場合は、家族信託ではなく遺言書作成による対応も検討してみましょう。

特に、財産が少ない方の場合、家族信託より費用を抑えた遺言書作成を行うことで、財産を守りながら希望する相続を実現できる可能性があります。

家族信託を失敗させないためのポイント

デメリットやメリットなどについて紹介しましたが、ポイントを抑えて行わなければ希望通りの家族信託を実現できないでしょう。

ここでは、家族信託を失敗させないためのポイントについて紹介します。

家族に納得してもらった上で始める

家族信託は、委託者と受託者の契約になるので家族の合意は必要ありませんが、何も話さず進めてしまうのは危険です。

一定の費用がかかりますので、制度の仕組みや目的を理解してもらえないと「もったいない」と反対する人もいるかもしれません。

また、受託者についても納得してもらうことが重要です。まとまったお金が任されるため、子ども1人を受託者にした場合、他の子どもが不満を覚え、それによりトラブルへ発展する可能性があるでしょう。

しっかり家族内で話し合い、合意をとってから進めることをおすすめします。

家族信託契約書に漏れがないようにする

家族信託契約書は数年から数十年使うものです。ネット上にもテンプレートがありますが、人によって事情や目的が違うため似ているようなものでも必ず抜け漏れが出てしまいます。

簡単に内容を変更できないものですので、しっかり自分に合うものを作成してもらうことが重要です。

ただ、作成に関して個人で頑張る必要はありません。家族信託の経験豊富な司法書士や弁護士などに相談すれば、打ち合わせするだけで事情に最適な家族信託契約書を作成してもらえます。

不安があれば依頼している専門家に、こういう問題がある時でも大丈夫か、カバーできるのかよく確認しておきましょう。

受託者の負担を減らす仕組みをつくっておく

デメリットで紹介した通り、受託者には書類作成などの実務が発生します。最初の慣れない内は時に負担を感じてしまうかもしれません

そのため、受託者の負担を減らす仕組みづくり、環境づくりは重要です。例えば、相談できる窓口をあらかじめ決めておき、何かあればまずそこに相談できるようにするなどです。

また、家族内でも受託者がどのようなことをしているのか共有し、何かあった場合サポートし合えるように決めておきましょう。

このような協力体制づくりの他に、受託者に一定の報酬を出すのも1つの方法です。

基本的に受託者は無償で手続きを行うことになりますが、報酬設定がされていれば精神的な負担は少し軽くなるかもしれません。報酬を設定する際は口頭ではなく、必ず契約書に記載しましょう。

家族信託でカバーできない部分をどうするか決めておく

家族信託では様々なことができますが、本人の身上保護や支援はできません。そのため、本人の判断能力が低下していても、医療に関しての契約について勝手に決められないこともあります。

このような家族信託でカバーできない部分に対し、どのように対応していくかあらかじめ決めておくのも失敗しないポイントの1つです。

多くのケースでは成年後見人制度を利用し、カバーしていきます。家族信託について相談する際は、専門家にどのような対策がベストかぜひ相談してみてください。

まとめ|家族信託の相談は早めが重要

家族信託はデメリットもありますが、ほとんどは専門家へ依頼することでカバーできます。まだ制度として新しいため不安に思う人も多いかと思いますが、悩んでいるのであれば専門家に相談し、どのような制度なのかについて確認してみてください。

家族信託を利用したい人は、早めの相談が重要になります。というのも、家族信託を利用するには判断能力があることが重要で、認知症と診断されてから相談しても利用できないからです。

認知症は人によって症状に差があり、診断されたものの会話できるケースもあります。逆に、診断されていないものの物忘れが多い人もいます。

どちらの場合でも、裁判などで争った場合に無効と判断される可能性がありますので、健康なうちに相談してみてください。

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司法書士 
笠田 佑介(東京司法書士会所属)

司法書士法人WISEPARTNERは、認知症後の対応だけではなく、認知症になる前の対策など、ご相談者様が現在状態で、何の対策を取らなければならないかのご相談も対応可能です。専門家として、認知症への正しい選択肢を提供しています。

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