2020.5.11 家族信託

家族信託とは

近年、高齢者が増えていることから財産管理や遺産に関する問題が浮上してきています。

例えば財産を持っている高齢者の方が認知症に罹ってしまった場合、財産管理や遺産の管理などが難しくなってしまうでしょう。

このような問題を解決するために、最近注目されているのが「家族信託」です。

家族信託とは、具体的にどのようなものなのか、特徴や仕組みについて詳しく解説します。

家族信託とは?

家族信託とは、簡単に説明すると自分の財産管理ができなくなる前に、家族へ財産管理や財産を処分できる権限を渡すことを指します。

これまで、認知症に罹ってしまった方向けの財産管理として「成年後見制度」が活用されてきました。成年後見制度は、成人かつ判断能力が不十分の人を守るために作られた制度です。

成年後見制度では家庭裁判所に申し立てを行うと、選任された後見人が本人の代わりに財産管理や権利等の保護を行います。

しかし、家庭裁判所に申し立てを行う「法定後見制度」を利用するためには、財産管理を任せたいと考えている本人の判断力が不十分であると判断されなくてはなりません。

つまり、自分がまだ判断能力を持っている段階で財産管理を後見人にお願いすることが難しいのです。

成年後見制度には「任意後見」と呼ばれ、将来的に判断能力が衰えた時に備え、あらかじめ任意後見人を選んでおく制度もあります。

しかし、これはあくまでも自分に判断能力がなくなった時に役立つもので、現段階で財産管理などをしてもらうことができないのです。

こうした背景から「家族信託」が登場し、より相続する側の希望に添えるようになりました。

その一方で、家族信託は最近注目を集めるようになった制度であり、それほど認知されているわけではありません。

一般家庭はもちろんのこと、弁護士でも「名前は聞いたことがある」程度の人も多いです。今後家族信託は高齢化が進んでいく中で、利用されるケースが増えてくると予測できます。

まだその時ではないと感じている方も、改めて家族信託とはどういったものなのか、理解しておくと良いでしょう。

家族信託の具体的な仕組み

家族信託は「家族へ財産管理の権限を渡すこと」とご紹介しましたが、具体的にどういった仕組みになっているのでしょうか?

ここからは家族信託の具体的な仕組みについて解説していきます。家族信託には主に3者が存在します。

  • 委託者:現段階で財産を所有し、家族に託したいと考えている人(親)
  • 受託者:財産の売却や管理、運用などを託される人(子)
  • 受益者:財産の売却や管理、運用によって生じた利益を受け取る人

財産を所有する委託者は、遺言や信託契約によって受託者に財産管理を行ってもらいます。

受益者は主に委託者が担うケースがほとんどなので、例えば親が子どもに信託契約で財産管理を任せ、そこで得た利益を子どもから親に渡すというようになります。

一見すると、「別にわざわざ家族信託にしなくても、相続で良いのでは?」と思ってしまう方もいるかもしれません。

しかし、相続に比べて家族信託の方が自由度の高い財産管理や相続の際の問題を回避できる場合があるのです。

家族信託は誰に相談すれば良いのか

家族信託には様々な手続きが必要となり、自分自身で行うことも可能ですが、非常に大変です。

特にあまり法律に詳しくない方が手続きを進めていくと、不備が見られてせっかく家族信託を行ったとしても、自分が思っていたような結果にならない可能性もあります。

そんな時、専門家に相談できると心強いと感じられるでしょう。

司法書士

家族信託に関しては、やはり法律の専門家である司法書士に相談した方が良いです。

家族信託は相続や遺言とも深く関係しているため、まとめて相談するなら法律の専門家が適していると言えます。

ただし、先ほどもご紹介した通り現時点ではまだ家族信託に関する判例がなく、もしもトラブルになってしまった場合にどのような結果になり得るのか司法書士にも分からない状態です。

司法書士はできる限り相談者の不利益にならないように動きますが、それでも結果的に損をしてしまう可能性もあります。

そういった点も十分に考慮しながら、家族信託について司法書士に相談してみましょう。

費用には事務所ごとに異る

あらかじめ問い合わせて、どれくらいの費用が掛かりそうか尋ねたり、無料相談を利用して家族信託の依頼にはどの程度の費用が掛かるのか聞いたりしましょう。

ちなみに一般的な法律相談料は30分5,000円~25,000円以下と言われています。

法律の専門家に相談する場合、あらかじめ以下の4点を明確にすると、話がスムーズになります。

信頼できる親族

  • 誰に信託したいのか
  • 何を信託したいのか
  • なぜ家族信託をしたいと思っているのか
  • 信託しようと考えている人は本当に信頼できるのか

最後の項目は、現在は信頼できる人物であってももしかしたら悪用されてしまい、最終的にトラブルに巻き込まれてしまう可能性があるため、もう一度本当に信頼できる人なのかを確かめることが大切です。

まとめ

今回は家族信託とはどういったものなのか、詳しく解説してきました。

家族信託はこれまでの成年後見制度や遺言制度とは異なり、新しい財産相続のやり方だと言えます。

家族信託に関するトラブルの判例は少ないものの、家族信託自体は取り入れる人が増えてきているので、自分に似たケースを探すこともできるでしょう。

家族信託は今後財産管理の権利を渡す方法として、一般的になる可能性が高くあります。

今すぐに財産を相続させたいという方でなくても、今のうちから家族信託や将来的な財産管理について考えてみましょう。

Information
笠田先生

司法書士法人ワイズパートナー

司法書士 
笠田 佑介(東京司法書士会所属)

司法書士法人WISEPARTNERは、認知症後の対応だけではなく、認知症になる前の対策など、ご相談者様が現在状態で、何の対策を取らなければならないかのご相談も対応可能です。専門家として、認知症への正しい選択肢を提供しています。

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