2021.2.8 家族信託

家族信託とは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説

家族信託とは

家族信託(かぞくしんたく)とは、認知症などで自分自身の財産を管理できなくなってしまうリスクに備えて、自分の家族に財産管理や処分をできる権限を与えておくことのできる、改正信託法によってできた比較的新しい制度です。

成年後見制度のように、本人の判断力が低下していなくても家族信託をすることも可能ですし、相続人全員を集めて話し合わずに信託を決めることもできるので、手軽に安心して資産を管理できる方法として注目を集めています。

今回は、家族信託の特徴をメリットとデメリットを挙げながらご説明します。実際に家族信託を行う際の手続きの流れについても簡単に触れていきますので、家族信託が気になる方はぜひ一度専門家に相談しながら、前向きに家族信託を考えていきましょう。

家族信託とは?家族信託の基本的な仕組み

冒頭でもお伝えしたように、家族信託とは、資産を持っている方が信頼できる家族に対して資産を託して管理・処分してもらうことを言います。

まずは、家族信託がどのようなものなのか?その仕組みをご説明していきたいと思います。

家族信託の仕組み

繰り返しになりますが、家族信託では家族に財産を託して管理・処分してもらいます。例えば、高齢の父親が息子に対して財産を管理してもらうことをお願いすることは家族信託になりますね。

口約束では後々のトラブルに繋がりますので、信託契約書や遺言によって「受託者である○○に財産△△の管理・処分を行ってもらう」という約束をします。

家族信託で登場する人物と主な役割

家族信託では、『委託者』『受託者』『受益者』の3人の人物が関わってきますので、それぞれのご説明をします。

委託者

委託者は、家族信託の設定をする人のことで、自分が保有する資産を受託者へと託します。上の例で言うと、財産を持った父親が委託者となります。

受託者

受託者は家族信託において資産の管理・処分を引き受ける人になります。上の例では、息子が受託者です。

受益者

また、家族信託には受益者も登場してきます。受益者とは、家族信託において経済的利益を受け取る権利を持った人物となります。

委託者が同時に受益者になっている場合も多いのですが、小さなお子様がいる場合には、相続発生後に受託者が管理する財産の中から受益者である子に必要資金を振り分けていくようなこともあります。

家族信託を行う6つのメリット

ここまで家族信託の特徴や仕組みについてご説明してきましたが、こちらの項目では家族信託を行うメリットについてまとめたいと思います。

家族の財産管理を簡単に行える

家族信託のメリットとしてまず挙げられるものが、家族の財産管理を簡単に行えることです。後述する成年後見制度では、本人の判断力低下などないと利用できませんが、家族信託であれば生前の健康なうちから資産を管理してもらうことで、後々の病気などによる判断力低下や相続に備えることが可能です。

成年後見制度に比べると非常に利用しやすい

上で触れましたが、家族信託と同じような目的の制度として成年後見制度があります。

成年後見制度の任意後見では、本人(家族信託でいう委託者)の判断力があるうちから申立てを行うことができますが、後見人(家族信託でいう受託者)が実際に資産を管理するのは本人の判断力が低下した後となります。

家族信託は、特に判断力が低下していなくても、受託者が財産の管理・処分を行うことができるので、非常に利用しやすいです。また、成年後見制度では後見人への負担が大きい点もデメリットです。後見人になった方は、裁判所への定期的な報告義務があったり、後見監督人が選任された場合には、毎月数万円の報酬が発生し続けます。

遺言書の代わりにもなる

家族信託で決めた内容は、遺言書の代わりとしても使えます。遺言書を作成する場合、民法で決められた方法で作成していく必要があり、遺言書作成が億劫になる要因だとも言えます。

家族信託は、委託者と受託者の契約で行うので、遺言書のように厳密な取決めや書き方をせずとも相続する財産について決めておくことができるのです。

相続順位の指定も可能

さらに、家族信託では相続順位の指定をしておくことも可能です。財産を受け取る受益者を決めた後に、万が一その方が亡くなった後に次の受益者が誰になるかまで指定しておくことができます。

一般的な相続では、生前贈与や遺言書による遺贈がありますが、生前贈与や遺贈を行った財産を次に相続が開始した場合の相続人まで指定できません

不動産の共有問題や処分の機会を逃すことを防げる

共有不動産がある場合、共同相続人全員の協力が必要になり、ベストなタイミングで処分できずに塩漬け状態(価格が下がってしまいやむを得ず長期保有している状態)になることも起こり得ます。

共有者としての権利や財産価値は平等にしつつ、家族信託によって管理処分権を決めておくことができることで共有問題や処分の機会損失を防げます。

家族信託のデメリットは?

一方、家族信託には以下のデメリットがあります。メリットに比べると大きなデメリットではありませんが、成年後見制度や遺言とは違う点にしっかり気を付けながら家族信託するかどうかを決めていきましょう。

身の回りのお世話まで信託契約で決めきれない場合がある

家族信託では、資産の管理や処分を受託者にお願いすることにはなりますが、高齢による判断力低下のケアや介護などの身上監護まで取り決められないことも多いです。本人の法定代理人として活動する成年後見人でなければ、身上監護に必要な契約が不十分になってしまうケースが考えられるのです。

受託者を決める際にトラブルが起こり得る

遺産相続でもよくある話ですが、家族信託で受託者を誰にするか決める段階でも家族間でトラブルになることは十分に考えられます。

家族信託の受託者は、委託者にとって信用ができる家族に託すことになりますが、他の親族からしてみれば、「本当にきちんと管理できるのか?」「不公平ではないか?」などの不満の声が出てくることも想定しておかないといけないでしょう。

相談できる専門家がまだまだ少ない

家族信託に関わる法律家には、弁護士・司法書士・行政書士がいますが、それらの人たちが家族信託に精通しているとは限りません。

家族信託は、2007年に施行された改正信託法によってできた新しい仕組みですので、ほとんど知識を持っていない・実務経験がない専門家がいることも否めません。専門家に相談する際は、家族信託に関して知見を持っている人を探していく必要があります

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家族信託での手続きの流れ

次に、家族信託の契約を決めるまでの流についてご説明していきます。

家族信託の主な流れは以下のようになります。もう少し項目を細かく分けてご説明しますが、主な流れは

  1. 『話し合い』
  2. 『契約書の作成』
  3. 『財産の移動』
  4. 『管理・処分のスタート』

となります。

必ず専門家に相談する

家族信託は家族で話し合って決めることになりますが、話し合いを行う前に必ず一度は専門家に相談するようにしましょう。仮に自分たちだけで決めてしまうと、後々のトラブルにも発展してしまいます。依頼の有無は問いませんが、最低でも相談はして的確なアドバイスをもらって下さい

家族信託に対する法的な知識を持った専門家と言えば、『弁護士』『司法書士』『行政書士』がいます。上でもお伝えしましたが、家族信託に対しての知識に乏しい専門家もいますので、必ず実績がある人物に相談するようにしましょう。

【関連記事】家族信託の相談先として最適な専門家は?司法書士・弁護士・行政書士で徹底比較

家族間で話し合いを行う

専門家に相談の上、ある程度の方向性が定まったのであれば、実際に家族間で話し合いを行っていきます。ここでの家族とは、親族全員ではなく、『委託者』『受託者』『受益者』が揃っていれば問題ありません。

上記の相談の結果、専門家も一緒に話し合いに参加して欲しいとお考えであれば、ぜひ依頼して話し合いから参加してもらいましょう。

主に決める内容は以下の通りです。

  • 信託する財産
  • 受託者・受益者の選定
  • 信託監督人の設定(※必要であれば)

信託監督人とは、受託者が1人だけだと財産管理がずさんになってしまうケースも起こり得ます。信託監督人を別に設定することで、相互で相談しながら財産管理を行っていけるので、受託者の負担軽減やトラブル防止になります。

信託契約書を公正証書で作成する

信託契約や当事者同士の約束事ですので、絶対正式な書面に残す必要はないのですが、高額な財産が関わってくる契約となるので、公正証書で作成して残しておくようにしましょう。

公正証書の原本が公証役場に保管されることになりますし、公証人立会いのもと作成されますので、後々起こり得るトラブル防止に役立てることができます。

信託財産の不動産名義を変更する

家族信託で信託することが決まった財産の中に委託者名義の財産があれば、名義を受託者名義へと変更していきます。

受託者名義の専用口座を新規で作成、委託者の金銭を信託する

また、金銭を管理するための専用口座を新たに受託者名義で作成し、委託者の金銭を移動させていきます。

受託者が資産の管理・処分を行う

財産が移動した後は、受託者が必要に応じて財産を管理・処分していきます。

【関連記事】家族信託手続きの流れをわかりやすく解説|必要書類や注意点まで

家族信託を司法書士などの専門家に依頼する際の費用・相場

こちらでは家族信託にかかる費用についてご説明します。家族だけで決めていけば費用もそこまでかからず済ませることもできますが、大切な財産を扱うこともあり、トラブルのきっかけにもなり得ますので、多少の費用は想定して家族信託を考えられると良いでしょう。

相談料

専門家に対する家族信託の相談は気軽に行うことができます。弁護士や司法書士などの専門家の種類は問わず、ほとんどの事務所で無料で相談を受けることができるでしょう。

また、自治体などで相続や家族信託に関する相談会を定期的に開催していることがあります。ぜひ、専門知識を持った人からのアドバイスは積極的に受けるようにしましょう。

信託契約書作成

信託契約書作成は、自分たちだけで作成することも可能ですが、公証人や専門家などの他の人に作成を依頼することで費用がかかってきます。まず、公正証書で作成する場合、1万円程度~数十万円の手数料がかかってきます。

信託する財産の額によって手数料も高くなってきますので、詳しくは以下のリンク先をご覧ください。

参考:手数料|日本公証人連合会

専門家に信託契約書作成を依頼する場合、以下のコンサルティング費用とは別で作成費用が発生する場合があります。依頼先次第ですが相場として30~50万円程度はかかるとお考えください。

専門家へのコンサルティング費用

弁護士や司法書士などの専門家に家族信託のトータルを依頼する場合、コンサルティング費用として報酬が設定されます。コンサルティング費用のほとんどは信託財産の割増で設定されており、1%未満といったところです。

例えば、1億円の財産を家族信託する場合、その1%が専門家に支払う費用の相場となります。信託財産が低い場合には、最低料金が決められており、少なくとも30万円程度はコンサルティング費用がかかると思っておきましょう。

受益者管理人や信託監督人への報酬

家族信託で受益者管理人や信託監督人を設定する場合、その方に報酬を設定します。相場としては月額1万円程度になっています。

解決事例

認知症の叔母の為に後見人をつける際のアドバイスを行う

将来父の自宅を売却して施設入所費用に充てたい

まとめ

家族信託とは、資産を持っている方が将来の老後や将来に備えて、資産を信頼できる家族に託して管理・処分を任せるための財産管理方法で、成年後見制度や遺言にはないメリットも多くあります。

家族の話し合いだけで決めることも可能ではありますが、大切な財産・高額な財産を管理することになれば、それだけトラブルが起きやすくもなります。

司法書士法人ワイズパートナーでは、ご相談は何度でも無料で相談はお受けいたします。わからない事や不安なことがあれば、わかりやすく説明いたしますので、お気軽にご相談ください。

Information
笠田先生

司法書士法人ワイズパートナー

司法書士 
笠田 佑介(東京司法書士会所属)

司法書士法人WISEPARTNERは、認知症後の対応だけではなく、認知症になる前の対策など、ご相談者様が現在状態で、何の対策を取らなければならないかのご相談も対応可能です。専門家として、認知症への正しい選択肢を提供しています。

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