2020.7.21 家族信託

家族信託手続きの流れをわかりやすく解説|必要書類や注意点まで

将来的な相続対策や認知症対策として家族信託を検討している方も多いと思いますが、家族信託の手続き方法や流れを知らないという方もいるでしょう。

家族信託の具体的な内容や手続きに関してはまだ認知度が低く、信託内容の取り決めに関しても多くの時間が必要です。

また個人で行うよりも、実務経験のある司法書士や弁護士などの専門家に依頼した方が満足のいく結果を得られるでしょう。

今回は、家族信託の手続きや専門家への依頼について解説していきます。

家族信託の手続きを検討している方は参考にしてみてください。

 

家族信託の目的とメリット

財産管理や相続対策などの1つとして、家族信託を用いることがあります。

家族信託は、財産を所有している人(委託者)が家族など信頼できる人(受託者)に対して財産の管理を委託し、決められた内容に従って利益を得る人(受益者)の財産管理や運用を行うことです。

自分が生きているうちに、自分の財産を誰に何の目的でいつ渡すかを決めることができ、財産を管理や運用は信頼できる受託者に託します。

自分が生きているうちに家族信託を行うことで、家族に管理や運用を任せておき、自分はそこで得た利益を受けることもできます。

予め家族信託を利用することで、亡くなった時の遺言から起こる財産分与などの争いが避けられるだけでなく、認知症などになってしまった場合でも特定の人を受託者にしておくことで資産運用にも役立ちます。

また、事業継承に家族信託を活用することも可能です。自分自身の判断能力が低下する前からでも財産管理に用いられるため、生前対策として取り入れる人もいます。

家族信託の目的や意味を考えてから内容を確認していき、家族信託の契約が結ばれるため、将来に対しての考えをまとめていくという意味でも有効な手段でしょう。

 

家族信託手続きの流れ

家族信託の手続きに関して解説していきます。

①家族信託の目的を明確に

家族信託を行う目的や意味を明確に考えましょう。家族信託を行う目的は様々ですが、なぜ家族信託を行うのかをきちんと話し合って決めることが重要です。

ここでは例として、家族信託を行う理由を一部ご紹介します。

  1. 高齢で今後認知症などを発生する可能性があり、判断力が低下する前に財産の管理を任せておきたい
    1. 認知症の妻に対して後見人をつけないようにしたい
    2. 所有している共有の不動産でのトラブルを回避したい
  2. 子どもたちへ不動産を相続させたいが、共有名義になることを避けたい
  3. 障がいを持っている子どもに対して将来を保障したい
  4. 子どもがいないため、妻が亡くなった後の財産は自分の親族に相続させたい
  5. 子どもがいない息子夫婦に財産を相続させたいが、息子が亡くなったら財産は嫁側に渡さないようにしたい など

②家族信託の内容を決める

家族信託の目的や意味が決まったら、家族信託の内容について話し合っていきましょう。

家族信託の内容を決めながら、他の法制度の利用や家族信託以外の選択肢がないのかも考えます。

家族信託の内容としては、主に以下の項目を決める必要があります。

  • 信託目的…何のために家族信託を行うかという目的
  • 委託者…財産を預ける人
  • 受託者…財産を委託者から預かり管理する人
  • 受益者…財産で得た利益を得られる人
  • 第二受託者…最初の受託者が管理できなくなった場合に管理を行う人
  • 第二受益者…最初の受益者に次いで権利を持つ人
  • 信託財産…不動産や現金などの受託者に預ける財産の種類
  • 信託期間…契約を継続する期間(死亡時までも可)
  • 残余財産の取得先…信託が終わった後に財産を取得する人

③信託契約書作成

家族信託に関しての目的や意味、内容について決まったら決定事項に基づいた契約書の作成を行います。契約書の作成に関しては、まだ新しい信託内容であるため、決まった書式として確立されていない部分があります。

そのため、専門家からのアドバイスや依頼によって正しい契約条文を確認していきましょう。

④家族信託契約書を公正証書にする

契約書として完成したら、公証人役場に持ち込み公正証書としましょう。公正証書にすることで誤字や脱字、表記間違いなどの確認ができ、公証人が本人の意思を確認するため、後の争いにも繋がりにくくなります

万が一紛失した場合も再発行が可能であり、金融機関での口座作成もスムーズに進められるでしょう。契約書としても効果も高められるため、公正証書にした方が良いですが、信託契約書を公正証書にする場合、以下の書類が必要です。

事前に用意しておきましょう。

  • 家族に関しての資料
  • 信託財産に関しての資料
  • 委託者の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
  • 受託者の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
  • 委託者または受託者の実印

⑤不動産があれば名義変更

財産の中に不動産が含まれている場合は、早めに不動産の名義変更手続きを行います。不動産の所在地を管轄している法務局で登記変更手続きを行いますが、名義変更は手続きが困難な部分が多くなっています。

そのため、個人で行うよりも司法書士に依頼した方がスムーズに行えるでしょう。登記申請手続きには、以下の書類を用意しておきましょう。

  • 委託者の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
  • 委託者の住民票
  • 委託者の実印
  • 委託者の認印
  • 登記済権利証書(登記識別情報通知書)
  • 固定資産評価証明書

家族信託に公正証書は必要ですか?

⑥信託専用口座の作成

信託財産の中に現金が含まれている場合、受託者は管理専用の口座を持つ必要があります。これは、自分の財産と信託財産を分けて管理する必要があり、専用の口座を持たなければなりません

また委託者の預金口座にある預金をそのまま信託することもできないため、必ず委託者の預金口座から信託専用の口座に送金します。

信託用の口座は専用口座となり、明確にしなければなりません。そのため、金融機関によっては信託専用の口座として作ることもできます。

信託専用の口座が作成できない場合は、「委託者 ○○ 信託受託者 △△ 信託口」など信託専用であることが分かるようにしましょう。

もし信託口として口座開設ができない場合、受託者名義の普通預金口座を開設して、信託契約書には信託専用口座として番号を書いておきます。

これによって、預金が信託財産であることが説明できるようになります。

信託口口座が開設できた場合、開設に必要な条件や資料を確認して金融機関で信託口口座を開設し、委託者の口座から信託口口座に送金します。

専用口座が開設できなかった場合は普通預金口座を開設して契約書に口座番号を記載後、委託者の口座から専用口座に送金する流れです。

まとめ

家族信託を行う場合、専門家に頼らずに自分で手続きを行うことも可能です。しかし、契約書の作成や手続き、登記に関しての全てを自分だけで行うのはとても困難であり、負担も大きくなってしまいます。

また家族信託では節税効果が期待されていますが、直接的な節税効果はほとんどありません。家族信託は、あくまで委託して管理してもらい、これによって得た利益を得られるのかが誰なのかを明確にするものです。

将来的な不安を取り除くための手段としては有効なので、メリットやデメリットを考慮しておくと良いでしょう。

また、問題なく家族信託を行うためには、専門家への相談がおすすめですので、何かお困りのことがあれば、私たち司法書法人ワイズパートナーへご相談ください。

相談は何度でも無料です。

Information
笠田先生

司法書士法人ワイズパートナー

司法書士 
笠田 佑介(東京司法書士会所属)

司法書士法人WISEPARTNERは、認知症後の対応だけではなく、認知症になる前の対策など、ご相談者様が現在状態で、何の対策を取らなければならないかのご相談も対応可能です。専門家として、認知症への正しい選択肢を提供しています。

家族信託の基礎知識

成年後見の基礎知識

解決事例

よくある質問

家族信託一覧 家族信託手続きの流れをわかりやすく解説|必要書類や注意点まで